高校生です　こうじ

僕と彼女が出会ったのは中学校の頃です。２年、３年と同じクラスになり、同じ高校に入学しました。最初はみんなで放課後に残って話すだけでした。１０月の終わり頃、僕は彼女に告白しました。それからは早くて、告白してから１０日後ぐらいには初めてキスをしました。そして２月、彼女と結ばれました。ただ彼女といられる事が嬉しくて、楽しくて、毎日が本当に幸せだって感じてました。 　彼女の妊娠が分かったのは、しばらくしてからでした。彼女自身が妊娠している事を分かってから１〜２週間程経って、僕には相談されました。「落ち着いてから、また連絡するから…。今は会えない。」とメールを送ってきました。次の日には産婦人科へ行き、手術の日程まで決めていました。手術は４日後、僕にまた連絡をくれたのは次の日でした。その時は、僕自身がどうしたらいいのか全く分からなくて、悩んでいました。彼女は、それ以上に悩んで、苦しんで、傷ついていたんだと思います。でも、その時はそんな事でさえもよく分かってあげる事が出来ませんでした。ただ、どうしようって、何をしてあげればいいのかって、悩んでるばかりでした。今思えば、そんな所が彼女が僕を頼ってくれなかった理由なんだと思います。彼女がくれた連絡の内容は、「明日、印鑑を持ってきて。」「手術は４日後に決まったから。」「明日であなたと二人で会うのは最後にしたい。」と書いてありました。その後、彼女に無理を言って、メールのやり取りを少しだけする事が出来ました。そのやり取りから、手術の事も、僕と別れる事も、彼女がすごく悩み抜いて出した結論だと分かりました。僕の事も「好きだけど、別れなきゃいけない。こうしなきゃいけないんだよ。」と言いました。 　翌日の午前中に彼女の家に印鑑を持って行きました。彼女の家には他に誰もいなくて、二人っきりでした。彼女はいつもよりもずっと明るく振舞ってくれてまいした。自分も辛いはずなのに、笑顔でいてくれました。僕のことを少しも責めませんでした。その時に初めて二人の本当の気持ちを話す事が出来ました。僕は本当に彼女を好きだという事。これからも一緒にいたい、力になってあげたいという事。色んな事を話しました。彼女は、「ありがとう…。」とだけ言ってくれました。その後、彼女を待ちつづけました。でも、１ヶ月後に彼女が出した結論は、「やっぱりあなたと別れたい…。」でした。 　妊娠・中絶によって、彼女がどれくらい傷ついて、悩んで、苦しんでいたかは想像も尽きません。でも、出来るなら少しでも分かってあげれるようになりたかった。彼女の力になりたかった。あれから彼女や亡くしてしまった赤ちゃんの事を一日だって思い出さなかった事はありません。

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